私と妻の馴れ初め

出会い

 

25.01

 

私が妻と出会ったのは、会社勤めを始めた年だった。

 

 

職場の先輩に、人数合わせということで
付き合わされた合コンに来ていたうちの一人が妻だったのだが、

 

 

第一印象は、

 

 

「こいつ、よく食うな」

 

 

というものだった。

 

 

実際妻はあの時、適当に話の相槌をうちながらも、
目の前にある料理に夢中という感じだったのだ。

 

 

後から聞いてみると、妻も一人暮らしを始めたばかりで、
お金のやりくりがうまくできず、

 

 

日頃、質素な食生活をしていたから、
久々のごちそうに目がくらんだんだそうだ。

 

 

合コンに参加したのも、参加費は無料なのに
飲み食いができるから・・・という身もふたもない事情からだったとのこと。

 

 

そして、妻の私に対する第一印象はといえば、

 

 

「全く印象がない。」

 

 

という、己の存在感のなさを実感させられるようなものだった。

 

 

 

 

再会

 

25.02

 

合コンでは連絡の交換さえせず、
本当ならこのまま二度と再び会うこともないはずだった二人。

 

 

運命のいたずらで、再会したのは、
趣味のロードバイクで、ちょっと遠出をしたときのこと。

 

 

道路わきで、ロードバイクが故障して困っているらしい女性を
見かけたのだが、これがなんと、嫁だったのだ。

 

 

妻の乗っていたロードバイクが
突然変速しなくなってしまったらしい。

 

 

私がちょっと見てあげると、運よく治ったので、
とても感謝されたのだが、

 

 

この時、嫁は私のことは全く知らない人だと思っていたらしい。

 

 

私は嫁に一目で気づいていたので、
ロードバイクを修理した後に、

 

 

「久しぶりにまた食事にでも行きましょう。」

 

 

と半分社交辞令で言ったのだが、

 

 

「は?久しぶり???」

 

 

と、わけがわからないといった顔の妻を見て、
自分が全く覚えてもらっていないことに気づいたのだった。

 

 

運命

 

25.03

 

その後、無事自分のことを思い出してもらえ、
お礼もかねて、と本当に食事に行くことになった。

 

 

ロードバイクという同じ趣味もあったことから、
その後、週末などに一緒にロングライドに行ったりして、
意気投合して付き合うことに。

 

 

合コンに誘ってくれた先輩に、
あの時の一人と付き合うことになったと報告すると、

 

 

「俺がキューピットだな。感謝しろよ!」

 

 

と言っていたが、キューピットはロードバイクだと思う。

 

 

あの時の合コンでは、お互い全くと言っていいほど、
眼中にはなかったのだから。

 

 

妻も、今となっては

 

 

「これって、運命の出会いよね♪」

 

 

なんて言ってるが、再会したときには私のことを
すっかり忘れていたくせに、よく言うよと言いたい。

 

 

とにかく、あの時、たまたま妻のロードバイクが故障しなかったら、
こうして結婚することもなかっただろうなぁと思うと、

 

 

妻のロードバイクに感謝したいし、
本当に人の縁とは不思議なものだと思う。

 

 

 

 

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